日本のマグロ漁船にインドネシア人やフィリピン人が船員として乗船しているという話は結構有名で、船の船員構成によっては外国人船員のほうが日本人より圧倒的に多い漁船もあるそうです。
水産関連の技能実習生を扱ってる組合の関係者に話を聞くと、水産関連の実習生はほぼインドネシア人だとのことです。 陸の仕事では中国に変わって人気国になりつつあるベトナム人は漁船には全くといっていいほどいないそう。
インドネシア人実習生が乗る船は日本近海のマグロ漁船やカツオ船。またイカ釣り船などがある。 数年前からだが日本人の漁師が減って行く今、彼らの力がないと日本の漁業はやっていけないのが現状だそうだ。
なぜインドネシア人船員が多いのか?
インドネシアはアジア有数の漁業大国で地元に水産高校も多い。日本の漁業関係者は毎年インドネシアの水産高校を周り、日本の技能実習生やマルシップ制度についての説明を行っており、また地元の送り出し機関や、船員専門の派遣会社も日本の漁協や船員マンニング会社としっかり連携を取っておりインドネシア人船員の日本船への乗船をしっかりとサポートしているそうです。
マルシップ制度ではインドネシア船員ほどではないが、フィリピン人船員も乗船しているとのことです。
マルシップ制度は遠洋と近海のマグロ漁船だけの制度ではあるが、このマルシップ制度を利用して外国人(国籍は基本的には問われない)は日本のマグロ漁船に乗船することができるのだそうです。
技能実習生との違いとしては契約期間の縛りがない。技能実習生は3年だがマルシップで乗船する場合、契約期間や給料は本人と漁船オーナーとの間で決まる。契約期間は1年だったり2年が基本のようです。
また、技能実習生は日本船に初めて乗る船員ばかりだが、(技能実習制度の性質上、一度日本に実習生として入国した者は再度実習生ビザの取得ができない為)マルシップ制度の場合何度でも乗船できるので、経験者が集まりやすいという利点がある。
ビザは技能実習生の場合、研修ビザや技能実習ビザが必要だが、マルシップ制度で乗船する船員はビザが必要ない。その代わり、日本の港に入港する際は上陸許可書を毎回取得しなければならない。
マルシップ制度の場合経験者は集まりやすいが、ベテランの船員になると色々船を見てきているため日本人船員からすると扱いづらくなることもあるそうです。
なので実習生のほうが扱いやすいと思っている船もあるのだとか。
近年の動向
漁業関係者の話によると、近年はインドネシア人船員やフィリピン人船員であっても乗船者(特に日本船経験者)を見つけることが難しくなっているとのこと。
船員は完全に売り手市場であり、経験者であれば漁船同士の取り合いになります。
また、インターネットとスマホの急速な発展で外国人船員もスマホを使って船員同士で情報のやり取りをしているそうです。
船の忙しさ、食事の量、日本人船頭の性格など、インドネシアの某掲示板では日本の漁船がランキング化されてるなんて話も聞きます。
なので、船の評判が悪くなると経験者の船員が全く集まらなくなってしまうこともあるらしく、未経験者では日本の漁法や習慣、言葉、冬は寒さに戸惑い、使いものにならず契約期間内に帰ってしまうケースも多々見受けられるそうです。
またFacebookがあることによって日本で働いてる他の友達の様子が見れることもモチベーション低下の要因となる可能性があるそうです。
漁船の仕事は危険度や仕事量に比べて待遇はそこまでよくなく、陸で工場などで技能実習生をしていたほうが楽なのかもしれない。そういった様子をFacebookを通じて簡単に見れる時代だからこそ、水産学校を出ても漁師より陸の仕事と思うインドネシア人も増えてきているそうです。
まとめ
陸の仕事では残業代の未払いや、待遇の面で度々ニュースにあがることもある技能実習生や外国人労働者の問題ですが、海の仕事もほんの一部の船ではありますが未だに暴力などの問題が起こるそうです。
実際、日本人の後継者の問題や人手不足は深刻でこれからも外国人に助けてもらわないといけない現状です。だからこそ賃金の問題や環境の改善をして、インドネシア人やフィリピン人の乗りたいと思う日本の船を目指してほしいものです。